脳とはいったいなんでしょう。私たち人間は1日中脳を使っています。物事を考え、喜んだり、怒ったり、哀しんだり、楽しんだり、食事をしたり、働いたり、スポーツをしたり、眠って夢見ることさえも、脳がないとできません。すべての高等動物は脳をもっています。脳は神経細胞のネットワークのかたまりで、コンピューターに良く似ています。コンピューターはプログラムされた仕事をすばやく行うのが得意ですが、物事を発想し思考することは脳にしかできません。
脳には大きく分けて大脳・小脳・脳幹という部分があり、さらに脊髄までつながっています。脳と脊髄をあわせて中枢神経といい、脳脊髄から全身の隅々まで神経という電線が張り巡らされており、この中枢神経は全身への指令をだしたり、全身からの情報を集めて処理しているコンピューターです。これは高等動物では脳の共通の機能です。ご存知の通り、脳は頭の中におさまっています。まわりはヘルメットのように厚い骨で囲まれており、外界から保護されています。脳の中では場所によって役割が分かれているのが特徴です。
人間がと他の動物に比べてもっとも優れているのは思考する能力です。人間の思考力の中心は大脳の前頭葉というところにあり、動物に比べて脳の中で前頭葉が占める割合が大きいのです。
この前頭葉は人類の発達とともに大きくなってきました。ネアンデルタール人や北京原人などは前頭葉が小さく、現代人になるにつれて前頭葉が発達し大きくなって、前頭部が大きい外貌となっています。この前頭葉による思考力が人類の現代文明を築き上げたのです。
今、医療の分野で臓器移植医療の研究が盛んで、実際に治療として成功をおさめている移植医療もあります。心臓、肺、肝臓、腎臓などは人間を含めた高等動物の中で機能に大きな違いはないため、ブタからの臓器移植なども検討されています。しかしながら、脳の移植だけはありえません。脳は個人の人格そのものです。移植医療においても脳死は人の死かということが議論されています。もし脳が移植できたら人格も移植されることになり、提供した人と提供された人どちらがほんとの提供者となるのでしょうか?
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